富山路面電車南北接続
富山市には、2つの路面電車があります。JR富山駅南側を走る富山地方鉄道富山市内軌道線(セントラム)と、JR富山駅北側に発着する富山ライトレール富山港線(ポートラム)です。この2つを富山駅で接続させ、直通運転するというのが、富山路面電車南北接続事業です。現在、富山市内軌道線の富山駅乗り入れは完了し、富山港線の富山駅乗り入れが工事中です。2020年3月21日の開業予定です。
富山路面電車南北接続の概要
富山駅は北陸新幹線開業にあわせて駅周辺工事が行われています。新幹線のほか、在来線の高架化工事が進んでいて、その完成後、南北の路面電車が接続します。
事業延長は250mで、先に高架が完成する新幹線高架下から富山市内軌道線までの延長160mを第1期事業、新幹線開業の3年後に完成する在来線高架下から富山ライトレールへの90mを第2期事業としています。2019度末の開業予定とされており、2020年3月21日が開業日と発表されています。
第1期の富山市内軌道線延伸は、2015年3月14日に営業開始しています。第2期の富山ライトレール乗り入れが2020年3月21日に営業開始となります。
完成後は、南北の路面電車が直通運転します。また、富山ライトレールの軌道区間に永楽町停留場を新設し、永楽町(八田橋東詰)~奥田中学校前までの区間を複線化します。複線化工事は2018年3月に完成しました。
直通運転開始後は、岩瀬浜から南富山など3系統が南北路面電車を直通します。
直通運転開始後、南北の路面電車は富山地鉄が一元的に運営します。南北接続に先駆けて、2020年2月22日に富山地方鉄道が富山ライトレールを吸収合併し経営統合します。
富山路面電車南北接続事業では、2007年施行の「地域交通の活性化及び再生に関する法律」を適用し、上下分離方式を採用しています。具体的には、富山市が軌道整備事業者となり、第1期については富山地方鉄道が、第2期については富山ライトレールが、それぞれ軌道運送事業者になります。
これにより、事業費の3分の1について国費補助が受けられます。第2期では、あわせて富山ライトレールの軌道区間の1.1kmが上下分離方式へ転換されます。
新幹線高架下には3面2線の富山駅電停が設けられています。富山軌道線と富山ライトレールが直通運転し、ポートラムが富山市内の環状線に乗り入れて戻る、ラケット状の運行形態が構想されています。運行主体も一元化し、運賃は210円均一が維持されます。
富山路面電車南北接続の沿革
北陸新幹線金沢延伸工事が着工されたのが2001年ですが、新幹線開業にあわせて、富山駅の在来線も高架化されることになりました。そのとき、焦点となったのが利用者減少が続いている富山港線で、JR西日本は、2003年に路面電車 (LRT) 化を提案します。
これを受け、富山市を中心とする第三セクター会社が経営主体となって富山港線を引き継ぐことが決定し、2006年に富山ライトレールによるLRT化が実現しました。
この時点ですでに、富山港線がJR高架化後に富山市内軌道線に乗り入れることは想定されていて、富山市は富山市内軌道線の改良にも着手。2009年に富山市内の環状運転を可能にする「富山都心線」が開業しました。
こうした準備を経て、北陸新幹線開業にあわせた路面電車南北接続事業が具体化していきます。2013年4月26日に、国土交通省は第1期区間の延伸事業を認定。富山駅高架下に新設予定の富山駅中央電停(現・富山駅電停)から軌道線との接続点までの160mを敷設する工事に着手しました。この区間は、2015年3月に開業しています。
その後、第2期として、富山ライトレール富山港線を富山駅まで延伸する工事が進めていて、2020年3月に開業となりました。
富山路面電車南北接続のデータ
営業事業者 | 富山地鉄 |
---|---|
整備事業者 | 富山市 |
路線名 | 富山港線 |
区間・駅 | 富山駅付近 |
距離 | 90m |
種別 | 軌道事業 |
種類 | 軌道 |
軌間 | 1,067mm |
電化方式 | 直流600V |
単線・複線 | 単線 |
開業予定時期 | 2019年度 |
備考 | -- |
富山路面電車南北接続の今後の見通し
富山路面電車南北接続は、すでに整備着手済みの事業で、第1期は完了しています。第2期が2020年3月21日に開業することで、ひとまず事業が完了します。