京阪中之島線延伸
京阪中之島線は、中之島~天満橋間の3.0kmを結ぶ路線です。中之島からさらに延伸し、九条、西九条、新桜島方面へ延伸する計画があります。
京阪中之島線延伸の概要
京阪中之島線は2008年10月に開業した、比較的新しい地下新線です。開業前から中之島以西への延伸計画があり、2004年の近畿地方交通審議会答申第8号では、「中期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として中之島駅から西九条駅を経て新桜島および夢洲方面へ延伸する案が示されています。
この案では、中之島駅から堂島川をくぐり、上船津橋北詰、中央市場北口、中央市場西口の交差点の地下を通り、西九条と千鳥橋を経て、桜島二丁目交差点の新桜島駅に至る約7.3kmの経路が想定されていました。西九条駅~千鳥橋駅間は阪神なんば線と並走することから、将来的に阪神なんば線への乗り入れも構想に入っていたようです。
しかし、2008年に開業した中之島線の利用状況が思わしくないこともあり、新桜島への延伸計画は進展していません。
2017年7月には、京阪ホールディングスの加藤好文社長が、中之島駅から南西に進んで地下鉄中央線の九条駅につなげる構想を明らかにしました。これは、夢洲にIR(統合リゾート)できることを前提にしたもので、九条駅で中央線と接続し、京都と夢洲IRを1度の乗り換えでつなぐことを狙っています。加藤社長は、中央線との直通運転も検討すると発言しましたが、給電方式が異なることや、九条駅での線路接続が技術的に困難なことから、実現性は低いと見られています。
2018年2月には、加藤社長らが、2024年に予定されている夢洲のIR開業に合わせて九条駅まで延伸し、その後、西九条駅まで延ばす構想を明らかにしました。ただ、これも現時点では構想の域を出ず、事業化へ向けた具体的な動きはありません。
京阪中之島線延伸の沿革
京阪中之島線の計画がオーソライズされたのは、1989年の運輸政策審議会答申第10号です。天満橋駅から渡辺橋を経て玉江橋(中之島)までの区間が、「2005年までに整備に着手することが適当である区間」とされました。この区間は、2003年5月に着工、2008年10月に完成しています。
その後、前述したとおり、2004年の近畿地方交通審議会答申第8号で「中期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として中之島駅から西九条駅を経て新桜島および夢洲方面への延伸案が示されました。
2017年に大阪市が試算した資料では、中之島~新桜島~夢洲まで整備した場合、約11kmで3,500億円の概算事業費がかかるとされています(新桜島~夢洲は北港テクノポート線)。
この試算の公表後、京阪電鉄は、地下鉄中央線の九条駅につなげる構想を明らかにしています。これは、大阪市営地下鉄中央線のコスモスクエア~夢洲間の延伸計画が、2024年までに実現する可能性が高まったためです。この状況の変化を受けて、中之島線も、夢洲へのアクセスが良くなる九条駅へと延伸する案が有力になったわけです。
上述したとおり、2018年2月には、九条駅まで延伸した後、西九条駅まで延ばす構想も明らかにされました。
京阪中之島線延伸のデータ
営業事業者 | 京阪電鉄 |
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整備事業者 | 未定 |
路線名 | 京阪中之島線 |
区間・駅 | 中之島~新桜島(答申案) |
距離 | 6.7km(答申案) |
種別 | 未定 |
種類 | 普通鉄道 |
軌間 | 1435m |
電化方式 | 1500V |
単線・複線 | 複線 |
開業予定時期 | 未定 |
備考 | -- |
京阪中之島線延伸の今後の見通し
京阪中之島線の既存区間の利用者は、想定の2割程度と低迷しています。なにわ筋線が開業し、中之島駅ができれば、京阪中之島線の利用者の一部がなにわ筋線に流出するとみられており、さらに利用者が減る可能性も指摘されています。
こうした状況から、京阪電鉄としては、中之島線の「西側のアクセス」を、早急に確保したいと考えているようです。九条駅へ延伸案は、中之島駅から2kmあまりと近く、道路下の空間を線路用地に使えるため、早く、安く作れそうです。九条までの事業費は1,000億円程度と見込まれています。
とはいえ、京阪電鉄が自力で作ることはできず、上下分離のスキームが必要になります。開業時期は見通せませんが、毎日新聞2017年7月27日付報道によると、2025~30年ごろの開業を目指しているようです。