広島電鉄宇品線
広島電鉄宇品線は、市中心部の紙屋町電停と、宇品港旅客ターミナルに隣接する広島港電停を結ぶ5.9kmの路線です。広島駅からの1系統、5系統と、西広島からの3系統の、3つの路面電車の系統が乗り入れています。
この路線を、広島港から先1.2kmほど延伸し、出島地区まで新線を敷設する計画があります。
広島電鉄宇品線延伸の概要
広島電鉄宇品線は、広島港でフェリーの宇品港旅客ターミナルと接続しています。その先、路線を西へ延ばし、臨港道路出島2号線に沿う形で、一部高架の軌道を建設するのが、宇島線延伸計画です。
広島特別支援学校付近に電停を新設し終点とします。途中に停留所が設けられるかはわかりません。
特別支援学校南には、広島港湾計画で「交通機能用地」が確保されていて、そこに広島電鉄の新たな車庫が設けられる計画です。この車庫は、広島電鉄本社のある千田車庫の機能を移設するものです。新車庫の規模は2ヘクタール程度で、高潮被害を防ぐため、高架構造になるようです。
広島電鉄宇品線延伸の沿革
広島電鉄の宇品線の終点は、かつては「宇品」でしたが、2001年に「広島港」と改称されました。広島港旅客ターミナルの移転にともない、電停が現在位置になったのは、2003年のことです。
その後、宇品の西南で出島地区の埋め立てが進められ、2019年3月に改定された「広島港湾計画」で、その土地利用計画が定められました。
広島港湾計画では、出島地区の交通ネットワークの強化が記され、特別支援学校南に交通機能用地の名目で、広島電鉄の新車庫の土地が確保されました。
2019年4月27日付中国新聞で、広島電鉄の出島延伸と新車庫計画が報じられました。この時点で、広島電鉄宇品線の出島延伸計画が公になったといえます。
広島電鉄宇品線延伸のデータ
営業事業者 | 広島電鉄 |
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整備事業者 | 未定 |
路線名 | 宇品線 |
区間・駅 | 広島港~出島(特別支援学校付近) |
距離 | 1.2km |
種別 | 軌道事業 |
種類 | 軌道 |
軌間 | 1,435mm |
電化方式 | 直流600V |
単線・複線 | 未定 |
開業予定時期 | 未定 |
備考 | -- |
広島電鉄宇品線延伸の今後の見通し
出島の埋め立ては2024年度に終了する見通しで、出島地区への路面電車延伸も、それ以降になります。広島電鉄は、駅前大橋ルートの整備に手を取られていることもあり、出島延伸に本格的に取り組むのは、2020年代後半になるでしょう。
広島県では、出島地区に商業施設や交流施設を設ける計画もあり、広電の路面電車は、そのアクセスを担います。
鉄道延伸につきものの採算性の議論については、港の先端部の路線だけに、費用便益比は高くないと思われます。ただ、車庫を建設する計画があるのなら、どのみち回送線は必要になるので、新線の実現性は高そうです。
開業時期は全く未定です。高架構造が予定されていますし、新車庫の建設にも時間がかかります。そのため、開業は2030年代に入ってからになりそうです。