JRおおさか東線
JRおおさか東線は、大阪府の放出駅から久宝寺駅を経て新大阪へ至る鉄道新線です。2008年に放出~久宝寺間9.2kmが開業、2019年3月16日に久宝寺~新大阪間11.1kmが開業し、全線開業済となりました。
JRおおさか東線の概要
JRおおさか東線は、貨物線(城東貨物線)を複線・電化のうえ旅客化する鉄道路線で、開業前は「大阪外環状線」と呼ばれていました。2008年3月15日に大阪市鶴見区の放出駅から八尾市の久宝寺駅までの区間が開業し、「おおさか東線」の名称が決定しています。
2018年度末(2019年3月)には放出駅から新大阪駅まで開業する予定です。最終的には、北梅田駅まで延伸され、なにわ筋線と直通運転する計画があります。
事業は1996年度に始まり、総延長は新大阪~久宝寺間の20.3㎞です。このうち、新線建設区間が新大阪駅~JR淡路駅の3.2km、複線化区間がJR淡路駅~久宝寺駅間17.1km、電化区間が新大阪駅~久宝寺駅の20.3kmです。
駅数は既存駅を含め13駅、未開業部分の駅は、南吹田、JR淡路、城北公園通、JR野江の4駅です。全駅相対式ホーム2面の8両編成対応です。
2018年に11月にJR西日本が公表した運行計画によると、旅客列車の運転本数は1日71往復でラッシュ1時間あたり7本、昼間1時間あたり4本を想定。貨物列車も1日10往復の運転を見込んでいます。旅客列車は7両編成で、最高速度は120km/hとしています。
新大阪駅では、おおさか東線のホームは最も西に配置され、梅田貨物線につながります。このことから、おおさか東線からJR京都線に乗り入れて大阪駅方面へ向かうことはできません。したがって、おおさか東線のJR京都・神戸線乗り入れはなく、大阪駅(地上駅)へ向かう列車は設定されないでしょう。
JRおおさか東線の事業費は1,243億円です。国の幹線鉄道等活性化事業費補助制度を活用して建設し、事業主体と施設の建設・保有は大阪外環状鉄道で第三種鉄道事業者となります。運行はJR西日本で、第二種鉄道事業者です。
JRおおさか東線の沿革
大阪市東部に敷設された城東貨物線の沿線では、1950年代からその旅客化を求める声があがっていました。1958年には大阪府知事の要望で、尼崎~吹田~放出~加美~杉本町~大阪南港間の旅客化(杉本町~大阪南港間は新線建設)が都市交通審議会答申第3号で取り上げられています。
東海道新幹線の建設決定後には、新大阪駅への接続を求める声が上がり、1963年3月29日の都市交通審議会答申第7号において、関西本線支線(阪和貨物線)も含む新大阪~加美~杉本町間の整備が答申に盛り込まれました。
とはいえ、都市郊外を回る路線のため、収益性に難があり、工事着工にはなかなか至りませんでした。1981年に4月16日に、国鉄が電化、複線化の認可を受けたものの、国鉄の経営悪化により工事に着手できないまま民営化を迎えます。1987年4月1日の国鉄分割民営化後は、新大阪~淡路間の未開業区間と城東貨物線、阪和貨物線はJR西日本に引き継がれました。
1989年5月31日の運輸政策審議会第10号では、新大阪~加美間が盛り込まれ、1992年7月に大阪府と大阪市、JR西日本、関西高速鉄道の4者が建設区間を新大阪~久宝寺間に変更すること、建設主体を関西高速鉄道、営業主体をJR西日本とすることで合意しました。
しかし、関西高速鉄道は兵庫県など大阪外環状線と直接関係しない自治体も出資していることから、新たな第三セクターを設立することになりました。受け皿として1996年11月に大阪外環状鉄道が設立され、同年12月に同社が第三種鉄道事業免許、JR西日本が第二種鉄道事業免許を取得して、ようやく工事に着手しました。
着工当初は2005年度の全線一括開業を目指していましたが、東淀川駅付近の踏切の渋滞悪化の懸念などから新大阪~放出間の工事に着手できず、放出~久宝寺間でも用地取得の難航で工事が遅れました。このため、全線一括開業を断念し、放出~久宝寺間が第1期線として2008年3月15日に先行開業しています。
新大阪~放出間は東淀川付近の経路を変更したうえで、2012年春の開業予定とされました。ところが、その後、JR西日本が新大阪から梅田貨物線を経由し、梅田北ヤード地区の北梅田駅(仮称)に乗り入れる計画を公表。第3期線としました。この計画変更にともない、新大阪~放出間の開業予定はさらに繰り下げられ、2018年度末(2019年3月)となりました。
JRおおさか東線のデータ
営業事業者 | JR西日本 |
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整備事業者 | 大阪外環状鉄道株式会社 |
路線名 | JRおおさか東線 |
区間・駅 | 新大阪~久宝寺~放出 |
距離 | 20.3㎞ |
種別 | 第二種鉄道事業 |
種類 | 普通鉄道 |
軌間 | 1067m |
電化方式 | 1500V |
単線・複線 | 複線 |
開業予定時期 | 2018年度末 |
備考 | 「幹線鉄道等活性化事業費補助制度」の適用による鉄道整備 |
JRおおさか東線の今後の見通し
JRおおさか東線のうち、部分開業中の放出~久宝寺間のJRおおさか東線の運行形態は、日中15分間隔の各駅停車のみの運転が基本です。朝夕のみ、東西線、大和路線と直通し尼崎~奈良を走る「直通快速」が走ります。
2018年11月にJR西日本が公表した運行計画では、全線開業後、直通快速は東西線直通をやめて新大阪発着となります。
事業計画では、ラッシュ1時間あたり7本、昼間1時間あたり4本を想定していて、実際の運行計画でもその通りになりました。日中は現在15分間隔の放出~久宝寺間の列車が、新大阪~久宝寺間に延長されます。
この路線は、大和路線沿線から、東海道・山陽新幹線へのアクセスを向上させる役割が期待されています。そのため、ラッシュ時限定ではあるものの、新大阪発着で、大和路線に乗り入れる列車が設定されました。ただし、おおさか東線内は待避可能な駅が事実上ありません(放出駅のみ、学研都市線ホームを使えば可能)。つまり、快速運転を拡大するには難がありそうです。