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山形新幹線・米沢トンネル

山形新幹線は、福島駅から山形駅を経由して新庄駅を結ぶミニ新幹線です。厳密な分類では在来線で、奥羽線の一部区間の愛称です。福島・山形県境の板谷峠に新トンネルを掘削して、高速化を図る構想があります。

当サイトでは、「新板谷トンネル」と表記していましたが、JR東日本が「米沢トンネル」(仮称)という名称を用いるようになりましたので、当サイトの表記も準じて修正しました。

山形新幹線・米沢トンネルの概要

山形新幹線は、福島~新庄間148kmを結ぶミニ新幹線です。在来線の奥羽線を標準軌にして東北新幹線と直通運転可能にした路線です。

山形新幹線の最高速度は130km/hですが、板谷峠を越える福島~米沢間は急勾配、急曲線が多く、最高速度が55km/h以下に抑えられている区間もあります。さらに、この区間は雪、雨、強風などの自然災害の影響を受けやすく、遅延、運休が生じやすくなっています。

こうした問題を解決するために、福島~米沢間に長大トンネルを掘る計画があります。2017年11月にJR東日本が山形県に伝えた概要によりますと、トンネル延長は23.1km、新線の総延長は庭坂~関根間24.9kmとなります。

画像:後藤源(山形県議会議員)ホームページより

事業化する場合、設計に5年、工期15年、事業費が1,500億円と見積られています。さらに、将来のフル規格新幹線に対応可能なトンネル断面に広げる場合は、120億円の増額と試算しています。実現すれば、東京~山形間の所要時間は10分程度短縮される見込みです。

このトンネルは、庭坂駅の西から、関根駅の東までを一気に貫くものです。23.1kmのトンネルが実現すれば、在来線トンネルとしてはぶっちぎりで日本最長になります。新幹線用のトンネルとしても、日本有数の長大トンネルになります。

山形新幹線・米沢トンネルの沿革

山形新幹線の構想は、1981年に設置された「山形県総合的交通体系整備問題調査会」で調査されたのが最初です。同調査会が、1983年に「県都(山形)新幹線の導入構想」として提言しました。その後、1988年8月に着工、1992年7月に開業しました。1999年12月に新庄までの延伸が実現しています。

しかし、開業後も、板谷峠を挟む福島~米沢間が輸送のネックとなっており、大雨や豪雪により輸送障害が頻繁に生じてきました。そのため、この区間に長大トンネルを掘り、輸送の安定と高速化を図る声が地元を中心に生まれました。

山形新幹線機能強化検討委員会が設けられ、2002年度には、知事への政策提言として、約21kmのトンネルを掘ることで、16分の時間短縮が可能という試算も出されています。しかし、事業費が840億円とも見積もられ、実現しませんでした。

その後、山形県の要請を受け、2015年に、JR東日本が山形新幹線の運休や遅れにつながる大雨、豪雪対策について、抜本的な対策について調査することを表明。2017年11月29日に、JR東日本が山形県に調査結果の概要を説明しました。これが板谷峠の新トンネル構想で、新ルートの総延長24.9km、トンネル延長は23.1kmという計画が明らかになりました。

山形県では事業化をするかどうかを含めて、検討をしている段階です。

山形新幹線・米沢トンネルのデータ

山形新幹線・板谷峠区間新ルートのデータ
営業事業者 JR東日本
整備事業者 未定
路線名 山形新幹線
区間・駅 庭坂~関根など
距離 約24.9km
種類 第一種鉄道事業
軌間 1,435mm
電化方式 交流20,000V
単線・複線 複線
開業予定時期 未定
備考 --

山形新幹線・米沢トンネルの今後の見通し

山形新幹線の米沢トンネルは、総事業費1,500億円、さらにフル規格新幹線が通れる断面にする場合は1,620億円という試算です。

山形新幹線の当初事業費(福島~山形間)が630億円にすぎなかったことを考えると、新トンネルはいかにも巨額です。冬季にも輸送が安定するとはいえ、1,500億円以上を投じて10分程度の時短にすぎないならば、費用対効果は厳しいといえます。

この計画は、奥羽新幹線ともリンクしています。フル規格で建設すれば、新トンネルはフル規格の奥羽新幹線の一部区間として活用できます。そのため、事実上の奥羽新幹線着工という側面も併せ持ちます。そうした政治性を帯びた区間なためか、吉村美栄子知事山形県知事は、フル規格での建設に前向きです。

同区間は自然災害の影響を受けやすく、遅延が生じれば東北新幹線までダイヤ乱れが波及します。それが解消できるため、JR東日本も新トンネルの建設には前向きです。しかし、トンネル建設による時短効果で得られるJRの受益が小さいため、費用負担に関しては、最小限に留めたいところでしょう。

こうした状況をみると、事業費が高すぎて、米沢トンネルの実現には高いハードルが待ち構えていると感じずにはいられません。

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