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札幌市電延伸

札幌市電(路面電車)は、2015年12月20日に西4丁目~すすきの間が開業しループ化しました。これをさらに、札幌駅方面を含む都心地域や、桑園地域、創成川以東地域へ延伸する計画がありました。2022年9月21日に、札幌市長が延伸断念を市議会で正式に表明しました。

札幌市電延伸の概要

札幌市では、2010年に「札幌市路面電車活用方針」を定め、市電の延伸について検討しています。延伸先の候補としては都心地域、創成川以東地域、桑園地域の3箇所が挙げられました。このうち、都心地域の一部(西4丁目~すすきの間)については、2015年12月10日に開業し、市電のループ化が実現しています。

画像:札幌市

需要推計は、再開発による需要増を見込んだ数字で、2030年に都心地域で1日3,689人、創成川東地域で2,306人、桑園地域で1,491人としています。概算事業費は都心地域で56億円、創成川以東地域で50億円、桑園地域で48億円です。

2022年9月にまとまった札幌市の調査結果によると、3方面(計9ルート)に延伸した場合、30年後の累積赤字が札幌駅周辺が18億~48億円、桑園地域は29億~39億円、札幌駅周辺を含む苗穂地域への延伸では34億~73億円まで膨らむと試算しました。これを受け、秋元克広札幌市長は、延伸断念を表明しました。

札幌市電延伸の沿革

札幌市電は1971年~1974年にかけて多くの路線が廃止され、西4丁目~石山通~すすきの間の袋状の路線を残すのみとなっていました。

この区間に関しても、利用者の減少から経営の悪化が予測されたため、2001年度以降に廃止も含めた検討がされています。

2003年度には「路面電車を存続させるために、経営の効率化や車両更新等の設備投資の内容、料金改定などの課題の整理」を行うとし、最終的に2005年2月に路面電車の存続を決定しました。このとき、「都心のまちづくりの中で、路面電車を積極的に活用するため、路線のループ化などについて早急に検討を開始する」としています。

2005年8月、まちづくりの中で市電を活用する方法について学識経験者や札幌市幹部が話し合う「さっぽろを元気にする路面電車検討会議」が発足。2006年9月に報告書を公表しています。

報告書では「『札幌駅周辺』『大通』『すすきの』の3地区を結ぶために、路面電車を延伸する必要がある」とし、「東西方向への面的な広がりを持たせることが望ましい」「JR札幌駅に路面電車を接続することや、基幹となる地下鉄3路線の都心各駅やバスターミナルと路面電車を結び、公共交通のネットワークを形成することで、都心内・沿線への集客機能と回遊性を高めることが望ましい」と指摘しました。

2010年3月には、市電活用に向けた「札幌市路面電車活用方針」を公表。路線延伸の実現可能性を検証し、将来の需要見込みから「都心地域」「創成川以東地域」「桑園地域」の3地域を検討地域としています。検討地域の再開発による新規需要も推計し、結果をまとめました(前述)。

その後、2012年1月には、西4丁目~すすきの間の札幌駅前通上を複線で接続する方針が固まったと報じられ、それを含めた「札幌市路面電車活用計画」が4月に公表されました。路線のループ化は、2015年12月に実現しています。利用者が乗降しやすいように、線路を道路の歩道側に敷設する「サイドリザベーション方式」が採用されました。

札幌市路面電車活用計画では、今後の展開として「札幌駅方面への延伸ルートに関する具体的な検討を進めるとともに、『創成川以東地域』『桑園地域』についても(中略)延伸の検討を行っていきます」としています。しかし、調査の結果、延伸は採算が取れないとして断念されました。

札幌市電延伸のデータ

札幌市電延伸のデータ
営業事業者 札幌市交通局
整備事業者 未定
路線名 未定
区間・駅 西4丁目~札幌駅ほか
距離 未定
種別 未定
種類 軌道
軌間 1067mm
電化方式 直流600V
単線・複線 未定
開業予定時期 未定
備考 --

札幌市電延伸の今後の見通し

札幌市電の延伸は、2022年9月に秋元市長が正式に断念を表明したことで、実現不可能となりました。実現するとしたら、北海道新幹線札幌延伸の2030年度がひとつのメドと考えられてきましたが、これも不可能になったといえます。

秋元市長は「レールや架線がない仕組みも含めて交通環境に影響が少ない交通システムを検討していきたい」としており、路面電車以外の新たな交通システム導入の検討がされそうです。

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