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阪急大阪空港線

阪急電鉄の曽根駅~大阪空港駅間約4.0kmの鉄道新線計画が、阪急大阪空港線です。阪急宝塚線の曽根駅から、大阪空港(伊丹空港)まで線路をつなぐ構想です。

阪急大阪空港線の概要

阪急宝塚線曽根駅付近から分岐して、大阪空港に至る鉄道新線を敷く計画があります。これが阪急大阪空港線です。ルート詳細は明らかではありませんが、曽根駅の北で宝塚線から分岐し、府道99号線の地下を西へ進み、阪神高速道路に沿って大阪空港ターミナル付近の地下に新駅を作るルートが基本線と考えられます。

曽根駅には引上線がありますので、分岐部はそれを転用する構想とみられます。また、曽根駅~岡部駅間には、高架化する際に残された地上線用地が残っており、そこを使えば地下に潜るスペースを確保できそうです。

2018年4月に公表された、国土交通省の「近畿圏における空港アクセス鉄道ネットワークに関する調査」結果の資料では、路線距離は4.0kmとされています。上記ルートを地図でたどると約3.8kmなので、おおむね合致します。

画像:「近畿圏における空港アクセス鉄道ネットワークに関する調査」(国土交通省)

阪急大阪空港線が実現すれば、梅田~大阪空港間が乗り換え無しで移動でき、所要時間は現行の蛍池乗り換え(大阪モノレール利用)より、約6分短縮します。

上記「空港アクセス鉄道ネットワーク調査」によりますと、車両費を含まない概算の建設費は約700億円と見積もられています。予想される輸送人員は1日2万5,000人。費用便益比は1.4とまずまずですが、収支採算性では40年間で黒字転換する可能性は低いとされました。そのため、実現には「採算性の向上策の検討が必要」と指摘されています。

阪急大阪空港線の沿革

大阪空港(伊丹空港)への鉄道路線建設構想は古くからありました。阪急宝塚線と大阪空港ターミナルは、直線距離で1㎞を切る部分もあり、新線建設として、そう困難な距離でありません。阪急のほかにも、JR伊丹駅からJR宝塚線を分岐させてつなぐという構想もありました。

しかし、今に至るまで実現していません。理由として、伊丹空港は騒音問題などを抱えて廃港が取りざたされてきたことが大きいです。廃港しないとしても、増便の余地が限られているため、鉄道を敷いても利用者増が期待できないという理由もあります。それに加え、鉄道事業者間の利害調整の難しさもありました。

そうした状況下で、2017年に北梅田と関西空港をつなぐなにわ筋線の建設が決定し、阪急も「なにわ筋接続線」を建設する方向が固まりました。その関連路線として、梅田・十三と伊丹空港を直結する大阪空港線プロジェクトも動き出します。

阪急は、梅田・十三と直結する大阪空港線の建設の検討を開始。阪急の意向を受けて、国土交通省も、なにわ筋線関連路線の1つとして調査を実施しました。その結果、2018年4月に「空港アクセス鉄道ネットワーク調査」が公表され、上記の試算が明らかにされました。

その経緯からして、阪急大阪空港線は、阪急なにわ筋連絡線ありきの計画です。したがって、現時点では、大阪空港線建設は決定しておらず、建設へ向けての具体的な動きもありません。

阪急大阪空港線のデータ

阪急大阪空港線のデータ
営業事業者 阪急電鉄
整備事業者 未定
路線名 大阪空港線
区間・駅 曽根~大阪空港
距離 4.0km
種別 未定
種類 普通鉄道
軌間 1435m
電化方式 直流1500V
単線・複線 未定
開業予定時期 未定
備考 --

阪急大阪空港線の今後の見通し

阪急大阪空港線は、なにわ筋線関連路線であり、阪急なにわ筋連絡線と新大阪連絡線が完成した後に整備されるべき路線とされています。

すなわち、阪急の新大阪~十三~北梅田間の新路線ができる前に、大阪空港線だけが議論されることはなさそうです。十三駅と新大阪駅や関西空港が一本で結ばれることにより、十三駅と大阪空港を直結する大阪空港線の価値が高まるからです。

阪急なにわ筋連絡線と新大阪連絡線の開業時期は未定ですが、2030年代には完成が予想されています。大阪空港線ができるとしてもその後ですから、2040年代以降に期待される鉄道新線、と考えておくのが妥当でしょうか。

費用便益比は良好で、開業すればたくさんの利用者が見込める路線であることは事実です。2040年代の伊丹空港の立ち位置や、航空需要予測などにも左右されるでしょうが、阪急大阪空港線は、いずれ実現する可能性の高い路線と考えられます。

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