相鉄・東急新横浜線
2023年3月18日に開業しました。
相鉄・東急新横浜線は、相模鉄道西谷駅から羽沢横浜国大、新横浜を経て日吉に至る区間に連絡線を建設し、東急東横線、目黒線と乗り入れる計画です。神奈川東部方面線の一部です。以前は「相鉄・東急直通線」という仮称でしたが、2018年12月に「新横浜線」の名称となることが発表されました。
相鉄・東急新横浜線の概要
相鉄・東急新横浜線は、相鉄本線西谷駅から羽沢横浜国大駅(JR東海道貨物線横浜羽沢駅付近)、新横浜駅を経て、日吉で東急東横線、目黒線に連絡する路線です。相鉄・JR直通線と一体をなす計画で、両者をあわせて「神奈川東部方面線」と呼びます。
相鉄・東急東横線は、厳密には羽沢横浜国大駅-日吉駅間のみを指します。相鉄では、相鉄・JR直通線、相鉄・東急新横浜線をあわせて「都心直通プロジェクト」と銘打っています。
開業区間のうち、羽沢横浜国大-新横浜間が相鉄、新横浜-羽沢横浜国大間が東急の営業です。分界駅の新横浜には2面3線のホームが設けられます。
相鉄本線・いずみ野線の各方面から、神奈川東部方面線を経て日吉で東急線と相互直通運転を行います。東急側では、東横線と目黒線の双方に乗り入れる構想ですが、それぞれの路線にどの程度の本数が乗り入れるかは明らかにされていません。
公表されている運行計画では、相鉄・東急新横浜線の開業時に、相鉄方面からの東急線への直通列車を、1日102~138本運行します。ピーク時は相鉄線から毎時10本程度、さらに毎時4本程度の新横浜駅始発の列車を運転し、合計14本の列車のうち、東横線直通が4本程度、目黒線直通が10本程度となるようです。
日中時間帯は、相鉄から東急への直通が毎時4本程度、新横浜発が毎時2本程度運転されます。直通線の設計最高速度は120km/hで、二俣川~目黒間を約38分間で結びます。相鉄側の車両は、東横線方面に20000系、目黒線方面に21000系を投入します。
相鉄・東急新横浜線とあわせた、神奈川東部方面線の総事業費は4022億円です。開業予定時期は2023年3月の予定です。
相鉄・東急新横浜線の沿革
1966年7月15日の都市交通審議会答申第9号で、茅ヶ崎-六合-二俣川-勝田-東京方面を結ぶ区間が「6号線」として、1985年までに整備すべき路線と位置づけられました。これが神奈川東部方面線の原形です。
その後、1985年7月11日の運輸政策審議会答申第7号で「二俣川から新横浜を経て大倉山・川崎方面へ至る路線」が盛り込まれ、二俣川-鶴ヶ峰-上菅田町-新横浜-大倉山間が明記されました。
2000年の運輸政策審議会答申第18号では、川崎臨海部方面への路線が削除され、二俣川-新横浜-大倉山間が「2015年度までに開業することが適当である路線」とされ、「大倉山駅において東京急行電鉄東横線と相互直通運転を行う」とされました。この段階では、JR線との直通計画はなかったようです。
その後、2004年に、相鉄本線の西谷駅付近と東海道貨物線の横浜羽沢駅付近を結ぶ短絡線を整備して相鉄とJRで直通運転を図る構想を、相鉄が公表(相鉄・JR直通線)しました。
この構想を受けて、JRへの旅客流出を危惧した東急が計画に参加。横浜羽沢駅付近と東急東横線日吉駅付近を結ぶ短絡線を整備し、相鉄・JR直通線を介して相鉄と東急の直通化を図る構想を、2006年に明らかにしました(相鉄・東急直通線)。この2線をあわせて「神奈川東部方面線」として整備する方針が固まったわけです。
2006年5月25日に、相模鉄道が相鉄・JR直通線について、相模鉄道と東急電鉄が相鉄・東急直通線について、それぞれ都市鉄道等利便増進法に基づく営業構想の認定を国土交通省に申請しました。JR東日本は連絡線の運営主体ではないので、事業には直接加わっていません。
2012年10月5日に相鉄・東急直通線の工事施工認可を国土交通省から受け、着工。当初計画では、相鉄・東急直通線は2019年4月に開業予定とされましたが、工事の遅れなどを理由に2016年8月26日に、2022年度下期への延期を発表しました。
2018年12月13日には、相鉄の営業区間(西谷駅~新横浜駅)を「相鉄新横浜線」、東急の営業区間(新横浜駅~日吉駅)を「東急新横浜線」とすることが発表されました。
2022年1月27日には、それまで「2022年度下期」としていた開業予定時期を「2023年3月」と明確にしました。
相鉄・東急新横浜線のデータ
営業事業者 | 相模鉄道・東京急行電鉄 |
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整備事業者 | 鉄道建設・運輸施設整備支援機構 |
路線名 | 相鉄・東急新横浜線 |
区間・駅 | 羽沢横浜国大ー日吉 |
距離 | 10.0km |
種別 | 第一種鉄道事業 |
種類 | 普通鉄道 |
軌間 | 1067m |
電化方式 | 1500V |
単線・複線 | 複線 |
開業予定時期 | 2023年3月 |
備考 | 都市鉄道等利便増進法に基づく速達性向上計画 |
相鉄・東急新横浜線の今後の見通し
相鉄・東急新横浜線の運行形態は、二俣川方面からの列車が、東急東横線・目黒線に直通するのが基本です(またはその逆方向)。朝のラッシュ時に1時間あたり10~14本、その他の時間帯では1時間に約4~6本が運行されます。
2022年1月に発表された運行計画では、相互直通運転先として、メトロ副都心線、東武東上線、メトロ南北線、埼玉高速線、都営三田線が挙げられました。
東横線、目黒線の配分は明らかではありませんが、直通用車両に10両編成と8両編成があることから、東横線と目黒線の両方へ乗り入れることは間違いなさそうです。10両編成は目黒線に乗り入れられないからです。また、東横線の優等通過駅には8両しかホームがない駅もあることから、東横線直通は急行運転が想定されているとみられます。
ただ、東横線はダイヤが過密なうえ、横浜駅方向に多くの列車を仕向けなければならないため、余裕のある目黒線への乗り入れがメインになるとみられます。開業後の所要時間は、渋谷~新横浜約30分、目黒~二俣川約38分、目黒~海老名約54分、新横浜~大和約19分、新横浜~湘南台約23分となっています。
途中の新横浜駅は2面3線で折り返しが可能な構造で、東急側からの一部列車は新横浜折り返しになります。
西谷駅は、JR・東急方面と横浜方面の分岐駅になるのにともない、両方面への折り返しが可能な引き上げ線が二俣川寄りに2本整備されます。そのため、東急線からの列車が西谷駅で折り返すことも可能になりますが、現時点では活用方法はわかりません。
相鉄としては、相鉄・JR直通線と相鉄・東急新横浜線の完成後、いずみ野線の延伸工事の検討に着手するという報道もあります。いずみ野線の延伸は、湘南台-平塚間が予定されていますが、まずは途中の慶應SFCまでの延伸が先になるとみられます。