福岡市営地下鉄七隈線延伸
2023年3月27日に開業しました。
福岡市営地下鉄七隈線は、天神南~橋本間12.0kmの路線です。天神南から博多駅まで延伸する計画があり、すでに事業化されています。
福岡市営地下鉄七隈線延伸の概要
福岡市営地下鉄七隈線の延伸計画は、天神南駅から、キャナルシティ博多付近を通り博多駅に至る1.4kmです。天神南から国体道路を進み、祇園町西交差点ではかた駅前通りに入ります。途中、キャナルシティ博多付近に中間駅(新駅)が設けられます。中間駅の名称は、2021年7月1日に「櫛田神社前駅」と発表されました。
博多駅まで開業することで、七隈線沿線から博多駅までの所要時間が乗り換え時間も含めて約14分短縮されます。博多駅では、地下鉄空港線との乗り換えは改札内移動でホームからホームで約150m、JR線との乗り換えは改札口~改札口で約180mです。
開業予定時期は当初2020年度とされていましたが、道路陥没事故などの影響で遅れており、2022年度に延期され、2023年3月27日と発表されています。想定利用者数(乗車人員)は8万2000人、建設費は587億円です。
福岡市営地下鉄七隈線延伸の沿革
福岡市営地下鉄七隈線の建設構想は、1971年3月の「都市交通審議会答申第12号」にまでさかのぼります。この答申で、「高速鉄道路線の新設」として、「都心部から西南部方面に至る路線」「都心部から箱崎方面に至る路線」「都心部から福岡空港方面に至る路線」の3つが盛り込まれました。このうち「西南部方面に至る路線」が七隈線で、福岡市の地下鉄計画では「福岡都市高速鉄道3号線」と呼ばれます。
3号線の本格的な検討が始まるのは、約20年後になります。1989年10月の九州地方交通審議会答申第4号において「西南部中央部と都心部とを結ぶ都心放射状の鉄軌道系輸送機関の導入について、地元自治体を含め検討を図る」と盛り込まれました。それを受けて、1992年4月には天神~橋本間のルートが決まり、1995年に鉄道事業免許を受けています。2005年2月3日に、天神南~橋本間が開業しました。
当時の七隈線の全体計画はもっと長く、橋本から博多駅方面を結ぶ計画と、天神・中洲川端を経由しウォーターフロント方面を結ぶ計画があり、総延長は16kmとされました。天神南~橋本間は、「緊急整備区間」と位置づけられ、先行整備されたわけです。
こうした計画があったため、七隈線は開業後すぐの2007年から、延伸が具体的に検討されます。この時点では、「薬院~博多駅」「天神南~中洲川端~ウォーターフロント」の2ルートが計画されていましたが、これに「天神南~博多駅」ルートが候補に加わわります。
そして、2009年度に「天神南~博多駅」ルートが優先して検討されることに決まり、2011年に事業化されることになりました。2012年6月に鉄道事業許可を取得して、2013年12月に着工しています。
福岡市営地下鉄七隈線延伸のデータ
営業事業者 | 福岡市交通局 |
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整備事業者 | 福岡市 |
路線名 | 七隈線 |
区間・駅 | 天神南~博多 |
距離 | 1.4km(営業キロ1.6km) |
種別 | 第一種鉄道事業 |
種類 | 鉄輪式リニアモーターカー |
軌間 | 1,435mm |
電化方式 | 直流1,500V架空電車線方式 |
単線・複線 | 複線 |
開業予定時期 | 2022年度(2023年3月) |
備考 | -- |
福岡市営地下鉄七隈線延伸の今後の見通し
七隈線の博多駅延伸は、2020年度の開業予定として進められてきました。しかし、延伸工事中に二度の陥没事故が発生。工事に遅れが生じ、開業時期は2022年度に後ろ倒しになりました。また、当初事業費は450億円とされてきましたが、社会情勢の変化と事故の影響で587億円に膨れ上がっています。
その後の工事は順調に進み、2022年1月に、福岡市が2023年3月開業予定と発表しました。
七隈線には、他に「薬院~博多駅」「天神南~中洲川端~ウォーターフロント」の2ルートが延伸候補として存在していましたが、天神南~博多駅間に路線ができたことで、残り2ルートは線形的に現実的でなくなりました。福岡市交通局の延伸構想を示す地図からも消されており、将来的な実現可能性はなくなったといえます。