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大阪メトロ中央線延伸

大阪メトロ中央線は、コスモスクエア駅から長田駅まで17.9kmを結ぶ路線です。地下鉄4号線とも呼ばれます。1961年に大阪港~弁天町間が開業して以来、延伸を重ねてきました。2005年にOTSテクノポート線の大阪港~コスモスクエア間を編入し、現在の路線が完成。これを、夢洲まで約3kmをさらに延伸する計画があります。

大阪メトロ中央線延伸の概要

大阪メトロ中央線の延伸計画区間は、コスモスクエア~夢洲(仮称)間の3kmです。この計画は、歴史的に大阪港トランスポートシステム(OTS)の「北港テクノポート線」の延伸事業とされてきました。同事業は、コスモスクエア~新桜島間7.3kmで、コスモスクエアから、夢洲、舞洲を経て新桜島までの鉄道計画です。

ただ、現時点では、夢洲~新桜島間はJR桜島線または京阪中之島線の延伸計画とみなされることが多いので、本項目では詳述しません。ここでは、北港テクノポート線のうち、大阪メトロ中央線で建設が決まっているコスモスクエア~夢洲間のみの延伸を取り上げます。

コスモスクエア~夢洲間は3km、海底トンネル「夢咲トンネル」を挟むため途中駅はありません。夢咲トンネルは完成済みです。夢洲駅は大きな吹き抜けを持つ構造で、2面2線の対向式ホームが配置される計画です。駅舎としてタワービルが建設されます。開業予定は2024年度です。

画像:大阪市北港テクノポート線建設事業に係る事後調査報告書

画像:大阪メトロ「地下空間の大規模改革及び夢洲開発への参画について」より

現状の中央線で使われている第三軌条集電方式の車両が導入され、6両編成で運転されます。運転間隔は未定ですが、現在の中央線に準ずる場合、ラッシュ時は約3~5分間隔、日中は7分30秒間隔(毎時8本)で運転されます。

建設費用は「夢咲トンネル」などに444億円が執行済みで、残りの事業費が540億円です。大阪市議会の議事録によると、このうち国費で64億円をまかない、大阪市が一般会計64億円、埋立事業会計202億円で負担します。この202億円について、開発者負担金として夢洲の開発事業者が負担する議論が交わされていますが、いまのところ決定した事実はありません。残り210億円はOTSが大阪市などから資金借入を行い、運賃収入から償還します。

大阪メトロ中央線延伸の沿革

大阪南港のコスモスクエアのある人工島を咲州、その北にある島を夢洲、さらに北にある島を舞洲といいます。これらの人工島をつなぐ鉄道を敷く構想は、1983年に「テクノポート大阪計画」が発表されたころから具体化し始めたようです。大阪湾岸を大規模開発する計画で、アクセス路線として、当時の地下鉄中央線の終点だった大阪港と、「ニュートラム」の終点だった中ふ頭とを結ぶ路線計画が浮上します。

1989年の運輸政策審議会第10号答申では、大阪港~海浜緑地(コスモスクエア)~中ふ頭間が「南港テクノポート線」として、2005年までに整備することが適当な路線として盛り込まれました。そのほか、海浜緑地(コスモスクエア)~北港南(夢洲)~北港北(舞洲)間が「北港テクノポート線」として、2005年までに整備に着手することが適当な路線とされました。「北港テクノポート線」は、さらに北港北から此花方面が「今後路線整備について検討すべき方向」として盛り込まれています。

この時点では、大阪港~コスモスクエア~中ふ頭をすべて新交通システム「ニュートラム」で建設する構想でした。しかし、1990年代に入ると、南港と北港の開発を目指す大阪市が、大阪港~コスモスクエア間について地下鉄中央線の延伸とする方針に変更。「北港テクノポート線」の海浜緑地(コスモスクエア)~北港北(舞洲)間を、それにつながる地下鉄と位置づけました。

背景として、大阪市のオリンピック誘致がありました。1991年に、大阪市は2008年オリンピックの招致を開始。夢洲を選手村予定地とし、舞洲を会場予定地とする計画で、アクセス路線として地下鉄中央線を大阪港からコスモスクエアを経て、夢洲、舞洲まで延ばすという構想になったのです。

コスモスクエア~中ふ頭間については、ニュートラムの延伸とされました。1997年12月に、大阪港~コスモスクエア間の地下鉄と、コスモスクエア~中ふ頭間のニュートラムが開業。ただし、このときの事業主体は、いずれも第三セクターの「大阪港トランスポートシステム(OTS社)」で、大阪市営ではありませんでした。

1998年には、「北港テクノポート線」の計画は新桜島までに拡大されます。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の誘致が決まったことを受けたもので、新桜島駅はUSJの北側に隣接する位置に予定されました。新桜島駅には、JR桜島線を延長することが想定されていて、JRが桜島~新桜島間に約1kmの新線を建設する計画となっていました。

OTS社は、2000年7月19日にコスモスクエア~夢洲~舞洲~新桜島間7.5kmの第一種鉄道事業者の許可を申請。建設費は1870億円で、2000年度着工、招致を目指すオリンピックが開催される2008年の開業を目標としていました。実際に2000年10月に、コスモスクエア~新桜島間の事業許可を取得し、咲洲と夢洲と結ぶ道路併用の「夢洲トンネル」(現夢咲トンネル)の着工に漕ぎ着けます。

ところが、2001年のIOC総会で大阪はオリンピック招致に失敗。しかし、トンネル工事はそのまま続き、道路部だけ2009年に開通することになります。一方、オリンピックが実現しなかったことで、夢洲の開発は頓挫し、アクセスとなる地下鉄も不要になり、北港テクノポート線計画は凍結されてしまいます。2004年10月8日に策定された近畿地方交通審議会答申第8号では、北港テクノポート線は「事業中路線」の扱いで、特記されませんでした。

この答申第8号では「中期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として京阪中之島線を中之島駅から西九条駅を経て新桜島および夢洲方面へ延伸する案が示されました。下記は建設中の夢洲トンネルの概要図で、北港テクノポート線は新桜島駅から先へ伸びています。この時点では、すでにJR桜島線への直通ではなく、京阪中之島線への乗り入れを想定したようです。

画像:国土交通省近畿地方整備局神戸港湾空港技術調査事務所

一方、大阪港~コスモスクエア~中ふ頭の運営を担っていたOTS社は、開業後、たちまち経営難に陥ってしまいました。2005年7月には、大阪港~コスモスクエア~中ふ頭間の運営を大阪市交通局に移管。これにより、大阪港~コスモスクエア間が大阪地下鉄中央線に編入されました。

凍結されていた北港テクノポート線計画が再び動き出したのは、2014年ごろからです。夢洲において統合型リゾート(IR)の誘致が決まり、さらに2025年の万国博覧会の大阪招致を目指すことが決まったため、コスモスクエア~夢洲間について、アクセス路線として延伸が再び検討されることになったのです。民営化した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)も中期経営計画で、中央線の夢洲延伸について2024年度の開業を目標と設定しました。

そして、2018年には、実際に2025年万博の開催地が大阪で決定したため、中央線の夢洲延伸が正式に決まったのです。

これにより、大阪メトロ中央線は、2024年度までにコスモスクエア~夢洲間3kmの延伸が行われます。整備事業者はOTSで、大阪メトロは運行を担う第二種鉄道事業者となります。

一方、北港テクノポート線という枠組みで考えると、夢洲~舞洲~新桜島間の延伸計画が残ります。この区間については、万博開催までに建設することは不可能で、現時点で建設に向けて決定したことはありません。

仮に残った延伸計画が再検討されるにしても、舞洲へは中央線を夢洲から延ばすより、JR桜島線を桜島から延伸したほうが合理的なので、中央線の延伸にはならない可能性が高いでしょう。

大阪メトロ中央線延伸のデータ

大阪メトロ中央線延伸のデータ
営業事業者 大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)
整備事業者 大阪港トランスポートシステム
路線名 中央線
区間・駅 コスモスクエア~夢洲(仮称)
距離 3.0km
種別 第二種鉄道事業
種類 普通鉄道
軌間 1435m
電化方式 直流750V第三軌条
単線・複線 複線
開業予定時期 2024年度
備考 --

大阪メトロ中央線の今後の見通し

大阪湾岸部を貫く「北港テクノポート線」計画は、大阪市の湾岸エリアの開発計画と軌を一にしてきました。バブル崩壊後、オリンピック招致失敗を経て、湾岸エリアの開発計画は頓挫。万博開催が正式決定したことで、ようやく開発が動き出し、まずは夢洲までの地下鉄計画が実現することになります。

万博開催の日程が決まっている以上、夢洲まで2024年に開業するのは間違いないとみられます。

夢洲から先、舞洲、新桜島への路線計画は、北港テクノポート線の枠組みをそのまま活かすなら、OTSが整備し大阪メトロ中央線が走ることになります。

ただ、新桜島まで中央線を延伸する案は、利便性に難があるため、おそらくは採用されないでしょう。桜島~舞洲~夢洲への路線は、IRが正式決定した場合に、JR西日本が引き受ける可能性が高そうです。逆に言えば、大阪メトロ中央線としての湾岸部延伸計画は、おそらく夢洲止まりとなりそうです。

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